第37章 番外編Ⅰ 意外なヤツ【潔視点】
「なっ!?コラ、触角…!!何やって…!?」
烏が声を上げた時は、もう遅かった。
士道は座っていた一番後ろの座席の窓を開けると、駐車中の動くバスの窓からダイレクトに飛び降りた。
外からは“キャー!”なんて悲鳴も聞こえる。
「わあぁぁ!!士道くんが飛び降りたー!!??大丈夫!?コレ死んでない!?結構高さあるよね!?」
「落ち着け時光。士道龍聖ノットオシャ。」
「笑えない…危険危険。」
「はぁ!?何やってんだ、あの変態触角!!」
「なに…玲王。うるさいなぁ。」
「この高さじゃケガすんべ!?危ねえっ!!!!」
バスの中は、カオスと化した。
「運転士さん!今、後ろの窓から飛び降りた人がおるんです…!」
「はあぁぁ!?危ねぇコトすんじゃねえぇぇ!!!!ケガしてねぇだろな!!??俺、会社クビになっちゃうよ!?」
氷織から状況を知らされた運転士が、半泣きでバスを停車させる。
すぐにバスを降りて状況確認に向かった運転士なんて気にも留めず、
士道は駆けてきた女子に……妖しくにじり寄る。
「なっ…!あの、大丈夫ですか…?あ、危ないですよ。えと…私に、なにか…?」
「綺麗なお目々でちゃあんと見て?ピンピンしてるよ、俺♪」
マスコミを含めその場のほぼ全員が、士道とその女子に視線を向ける。
「キミとなら大爆発(ビッグバン)が起こせそうなんだよねぇ…♡なんせ俺の全細胞、ビビンッときちゃったから♪」
顎クイされて顔を近付けられて、多分口説かれてる。
コレ、助けたほうが良くね……?
「“コッチ”の生命活動も、炸裂(スパーク)したいのよん…♡」