第37章 番外編Ⅰ 意外なヤツ【潔視点】
JFUに到着したバスは敷地内に入る。
駐車場には報道陣と野次馬がいて、生き残った“青い監獄”メンバーの家族らしき人達も待っていた。
「げ、姉ちゃん…。」
「お。今日もおったで、非凡姉。」
「なーなー、ワンチャン連絡先交換あり?」
バスに向かって大きく手を振る千切のお姉さんに、烏と乙夜が熱視線を送る。
「蜂楽の彼女ってどれだよー!?」
「俺も気になる。蜂楽と付き合える人ってどんなかなって。」
「我牙丸!それお前にだけは言われたくねーだろ!」
「蜂楽さんは人懐こくてめんこいっぺ!女子に好かれて当然だべ!」
イガグリと我牙丸が騒ぎだすと、周りにも伝染する。
七星達に取り囲まれた蜂楽は手を頭の後ろで組んで、ニヤッと笑って眼を細めた。
「きっと、すぐ来るよ…♪」
駐車するために、ゆっくりと切り返すバス。
蜂楽が呟いた直後、ひとつの人影が地上を見つめる俺の眼の前を駆け抜けた。
「♪ ほーらきた。俺の愛するカノジョちゃん…♡」
端正な顔立ちが、少しずつ見えてくる。
制服に身を包んだ、綺麗な眼の女子高生───。
「おっひょい♪大爆発(ビッグバン)の予感…♡」
人影(それ)を見たのは、士道も同じだった。
人知れず…って表現が合ってるのか判らないけど
士道(コイツ)は確かに、このバスに乗っていた。
「一点照準(ピンズド)…♡」
ニタッと笑った士道の恍惚な表情を、俺は見た。
何かを真っ直ぐ捉えて、舌をペロッと出す。