第37章 番外編Ⅰ 意外なヤツ【潔視点】
二次選考で、脱落者はかなり出た。
その後の適性試験(トライアウト)を経て……
2月21日のU-20戦に勝利した、俺達“青い監獄”。
風呂で談笑したあの日以降も、蜂楽はちゃんといつも通りだった。
二次選考で“かいぶつ”から解き放たれた蜂楽は、
前とは違った意味で大人びて見えた。
けど、サッカーでも日常生活でも、やっぱ根本の部分は全然変わってなくて…
俺は何故か、それが嬉しかった。
たまに彼女の話を聞いたりして、俺にもいつかそんな人が出来ればいいな、なんて漠然と思ってた。
U-20戦の翌日から二週間のオフを貰った俺達は、
私物を返された後、バスに揺られていた。
入寮日は何台もあったバスだけど、今は生存者全員が一台に乗り込めるくらいに減った。
それぞれの休暇を過ごすために、全ての始まりだったJFUのビルに向けてバスは走る。
「みんな撮るよーん!パシャリンコ♪」
車内で蜂楽が始めた、急なセルフィー。
三ヶ月もコイツと共同生活してると大体のことは驚かなくなってくるんだけど……
勝手に始まった撮影会に、各自がツッコむ。
「え、なに?いま俺、景色見てたんだけど。」
「だいじょーぶ!横顔ユッキー、カッチョよく撮れてるから♪」
「待てや非凡蜂。それSNSとかにあげるんちゃうやろな?俺らもう有名人やろ。使用料高くつくで?」
「俺SNSとかめんどくさくてやってないもーん。
イマドキ非凡非凡♪ちゃは、黒名うつった。」
「似てない似てない。」
「お、なになに。エゴ友記念撮影祭り?俺にも送れー。じゃんじゃん撮れー。」
「じゃんじゃん♪送るね乙夜ん!アカ教えてっ!」