第37章 番外編Ⅰ 意外なヤツ【潔視点】
「他にも面白い話いっぱいあるよ!文化祭の時、学校全員の前で公開キスしたりー♡」
「!? 公開キス!?」
「夢のコト好きすぎて拗らせたクソメガネの心へし折ったり…クサレ下衆ザコのキンタマをスパイクでブッ潰したりー♪」
「ブッ潰…!?なにそれ、なんか俺も痛い!!」
「せいしゅんだよねー。楽しかったなぁ♪」
「お前それ、楽しかったの?」
「俺ん家に一緒に住んでる。優…ママの弟子なんだ。」
「弟子!?同棲!?ツッコむ間をくれ!!」
「モチロン俺のママと、夢パパ公認♪」
「ちょま…飲み込めない…もっとゆっくり話して…」
「プロポーズも2回した。」
「は…!?プロポーズぅ…!!??」
「1回目は“殺す気?”ってツッコまれて、2回目は“キョトン…”だったけど。反応の可愛いコト♡」
「どんなプロポーズしたんだよ。」
けろっとした様子で展開される、蜂楽ワールド。
大渋滞の情報に、主に俺と今村で手分けしてツッコんだ。
彼女(そのひと)のイメージが、勝手に湧き上がる。
話を聞くとより現実味を帯びてきて、スマホを没収されてなければ写真でも見せてもらいたいくらいだ。
「美人で、優しくて、頭良くて、料理めちゃウマで、絵が好きで…。来年から美大生なんだ…♪」
そう言う蜂楽の眼からは、温かさが溢れてた。
彼女のことを鮮明に思い出したような、優しい表情。
嬉しそうで、懐かしそうで、愛おしそうで……
心底惚れてるんだなって、俺でも判った。