第36章 蜂蜜の愛
“俺、夢ちゃんの前ではもう泣かないって、決めたんだ。
泣きたいくらい悲しいのは……夢ちゃんのほうだから。”
蜂楽にだって……悲しみはあるじゃん。
なのに、いつも私を一番に考えて、尊重して……
こんなにも深く愛してくれた。
“夢ちゃんも、ひとりぼっちなんだね。”
“……蜂楽くんも……ひとりぼっちなの?”
サッカーで周りと協調できなかった蜂楽。
私達、出逢ってひとりぼっちじゃなくなったけど
蜂楽はまだ……サッカーでは、ひとりぼっちだ。
“廻のサッカー人生を、いつか邪魔しそうで…怖い。”
私、何やってんだろ?
蜂楽に“ともだち”ができて
サッカーだけに夢中になって
私から離れちゃうんじゃないかって不安になって
“かいぶつ”に“ともだち”に……勝手に嫉妬して。
蜂楽のサッカー人生を邪魔してるのは……
紛れもなく、“今”の私───。
耳元が蜂楽の涙で濡れていく。
頬を手で包んで、上気した泣き顔をゆっくり上げた。
黄色の眼から溢れてくる涙を指先で拭ってあげて。
背伸びして、唇を重ねた。