第5章 夢の続き
「俺さ…女の子の体のコトとか、体調とか、よく解んないけど。これからは、解るように努力する。」
「なに?どうしたの急に。」
蜂楽は、頭に乗せていたボールをキャッチして一旦止めた。
「俺、もっと夢ちゃんの役に立ちたいよ。心配事とかあるなら、ちゃんと俺に言って。」
いつになく真剣な面持ちで、立ち止まる蜂楽。
低いトーンの声が、よく耳に通る。
その表情はごく普通の、年相応の高校2年の男子で…
夕飯の時まで見せてた、無邪気な子供のような顔ではなかった。
「本当に……
夢ちゃんが元気になって良かった…。」
蜂楽にキュッと抱きしめられる。
手に持っていたボールが地面に落ちて、テンテン…とアスファルトにバウンドする音がやたらと耳に残った。
「廻がそばに…いてくれたからだよ。」
“彼氏役”の時は、廻と呼ぶ約束。
友達か彼氏か、今日は動揺してつい何も考えず蜂楽と呼んでしまったけど。
でも、この約束は関係なく。
今は私自身の気持ち、あなたのことを……
“廻”って呼びたいよ。