第5章 夢の続き
「えっ、悪いです…そんな…!」
家に帰ってもどうせひとり。
いただいていきたいのは山々だけど、家事と予備校のオンライン授業のことが頭をよぎる。
「悪いワケないっしょ?俺ら友達じゃん♪」
「親御さんに連絡してみな?帰りは車で送るから!」
親に連絡しても、意味はない。
多分、今夜もずっと……病院だから。
「夢ちゃんはもう、優の弟子みたいなもんっしょ?」
そういえば、お母さんに連絡したって蜂楽言ってた。
夕飯の材料も、私のために出先でわざわざ買ってきてくれたものかもしれない。
そうだ……親の顔色ばかり気にするな。
私は今日からまた……
自分の夢の続きを、描いていくんだから。
「じゃあ……お言葉に甘えて、いただいていきます。」
「そうこなくちゃ♪俺ら遊ぶのに夢中で、クレープしか食べてなかったよね。おなかすいたー!」
ホットプレートで、焼き肉をごちそうになった。
真ん中にホットプレートが置いてある食事なんて、恥ずかしながら初めてだった。
親がネット注文した食材で適当に自炊してる私にとっては、夢のような夕飯だ。
みんなで準備して、同じ時間(とき)に、同じものをいただく。
それが、こんなにも温かい幸せだなんて……
思ってもみなかった。
私が長い間ずっと欲しかった……家族の食卓。
ウチは、どうしてこうなっちゃったんだろう?
私は、お父さんとお母さんと私とで……
こうしたかっただけなのにな───。