第5章 夢の続き
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“1年2組 蜜浦 夢
わたしのしょうらいのゆめは、
りっぱなおいしゃさんになることです。”
人生初の授業参観は、忘れたくても忘れられない。
“おとうさんやおかあさんのように、
にんぷさんやあかちゃんをたすけるおしごとで、
よのなかのやくにたちたいです。”
この日この教室に、父や母の姿は無かった。
“そんなおとうさんやおかあさんを、
わたしはそんけいしています。”
私はこの“定型文”を授業参観で発表し、担任の先生にとても褒められた。
父も母も授業参観に来られなかった理由は、仕事だと思う。
理由は直接聞いてないから、事実かは判らない。
だだはっきり言えるのは……
これは私の夢なんかじゃないってこと。
小さい頃から、空気を読むことが当然で……
大人の顔色を伺う癖が染み付いている。
これは……父と母の、夢だ。
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「夢ちゃん。夕飯、食べていかない?」
蜂楽のお母さんが、エプロンの紐を締めながら言った。