第5章 夢の続き
「……思い出せたのは、廻くんのお陰なんです。」
眼のところが、熱い。
「廻くんはいつも私に元気をくれる。
私を子供のままで……いさせてくれるんです。」
今日初めて逢った人に……失礼かな。
「……私、本当は……
医学部なんて行きたくない……!!」
それでも、この感情は……
眼から溢れてきちゃうんだなぁ……。
「夢ちゃんはまだ高校生。何者にもなれるんだ。
だから今度はしっかりと、自分の声を聞いてあげてね。」
蜂楽のお母さんは、私の涙を指で拭ってくれた。
「デザイナーも基本はデッサンや色彩感覚が大事。美大目指してみるなら尚更ね。観に来たくなったら、いつでもおいで!」
「……はいっ……!!」
蜂楽のお母さんの大きな大きな優しさに触れて…
夢の続きを追いかける覚悟を決めた。
「……私、デザイナーになります……!」
蜂楽とお母さんは、ニカッと笑ってくれた。
この瞬間感じたことを、この瞬間見えたものを
永遠に忘れたくないと思った───。