第29章 おつきさま【蜂楽視点】
「……マジで変だ、俺……。」
夢ちゃん。
俺のコト、もう嫌いになっちゃった?
夢ちゃんをまた傷付けたのに……
悪いのはガキで単純でバカな俺なのに……
取り返しつかないくらいの罪を犯したのに……
それでもまだ、嫌われたくないなんて。
今キミを、めちゃめちゃに抱きたいなんて。
クッソサイテーで……
エゴいコト考えてる俺を───。
“酷い。廻がいるのに…するわけ、ないでしょ…?”
“俺に口答えする気なんだね?”
俺はいつの間にか夢ちゃんを信じられなくなってた。
いつも自分のコト信じて欲しかった、この俺が。
“大人になっていくとね、みんな…信じたいのに信じられなくなる。”
子供の頃、優が言ってたっけ。
じゃあ俺も、大人になってるってコト?
───いや、違う。
俺は、まだ子供だ───。
ずっとずっと夢ちゃんの
“月”みたいに静かな優しさに甘えてきただけ。
思い通りにならなかった夢ちゃんに
身勝手なエゴをぶつけただけ。