第29章 おつきさま【蜂楽視点】
夢ちゃんの夢を、一番近くで応援したい。
夢が夢ちゃんの心を解放するんだってことも解ってる。
俺ん家に住み込んでるのは、イチャつくためなんかじゃない。
でも夢ちゃん、俺さ……正直言うとね?
それとは裏腹に、もっと俺に縛り付けたい。
まだ真っ白な夢ちゃんを、俺色に染め上げたい。
キミの生きる意味を……俺だけにしたい。
ホントは、むじゅんだらけのエゴイストなんだ。
俺って、やっぱ変だよね。
───夢ちゃんが全然、足りないよ。
そうやって欲求不満(フラストレーション)が
爆発したんだ───。
おまけにさっきの、笑っちゃう。
“俺の大事な‘妹’に二度と近付くんじゃねぇ。”
どうせハッタリだろって思えたらまだ楽だったのに、マジな眼で言うなオッサン。
言うなら、殴って説教垂れる前にしろし。
言うなら、俺が納得するまでちゃんと説明しろし。
カッコ悪すぎて、説明求めてあそこにいれるワケないじゃん。
モヤモヤ消化できないまま、殴られたほっぺ腫らしたまま、すぐ帰れるワケないじゃん。
頭では理解ってたのに。
ストーカーになにかされたかもしれない夢ちゃんを、アンタがフォローしてたってコト。
ホントに今日は……変なコトばっかりだ。
お前はどう思う?
サディズムの“かいぶつ”───。