第4章 記憶
急に気が遠くなった。
目を覚ますとベッドの上で、きちんと寝ていた。
「……あれ、私……?」
「夢ちゃんっ!!」
ベッドの横にいた蜂楽が、ガバっと抱きつく。
「大丈夫!?ごめん、俺っ……!!」
そんな顔しないでよ。
蜂楽のそんな苦しそうな顔、見たくないよ。
「夢ちゃんに何かあったら、俺っ……!!」
「……蜂、楽……?」
蜂楽の黄色い眼は、涙で潤んでいた。
私を思いやってくれた涙。
星みたいに綺麗な雫が、堪えきれなくなってツーっと彼の頬を流れていった。
「もう大丈夫。久々に運動したから……疲れちゃったのかな。」
違うの。
嘘ついて……ごめんね。
本当は……
“あの時”の記憶との……デジャヴ。
蜂楽を安心させたくて、頭を優しく撫でる。
「そばにいてくれて嬉しい。」
───その瞬間、夢と現実の狭間に私はいた。
触れた唇の温かさが……
微かに聞こえたリップ音が……
頬に伝った涙のしょっぱさが……
蜂楽の頬にキスしていたことを
物語っていた───。