第4章 記憶
「蜂楽は……優しい眼をしてるね。」
「……っ、俺が優しくするのは…夢ちゃんだけだよ。」
「泣かないで?蜂楽の涙なんて…見たくないよ。」
「……泣いてないやいっ。」
目をゴシゴシ擦りながら、手で覆う蜂楽。
こんな顔もするんだなって、薄い意識の中で感じた。
蜂楽が言うには、私は10分くらい気を失っていたらしい。
少し安静にしてれば大丈夫だと、蜂楽はスマホで調べてくれたようだ。
前にもあった、過呼吸だった。
「マジで良かったぁぁ〜。夢ちゃん大丈夫そうで…。」
「心配かけてごめんね。本当にもう大丈夫だよ。」
「ん。安心したら俺、眠くなってきちゃったぁ。」
「おいで?一緒に寝よ?」
「大胆かわいい♡失礼しやす♪」
これは、帰宅した蜂楽のお母さんから後で聞いた話。
「ただいま、廻ー。お友達来てるんでしょ?なんか出そっか?」
私と蜂楽は、ふたりで仲良く並んで寝息を立てていたらしい。
「あらあら♡」
しっかりと、お互いの手を繋ぎ合ったままで。