第28章 兄と妹
“シーツ替えるからベッド使え”と言うマスターをなんとか諌めて、リビングの小さいソファで横になる。
感情がかつてない程にとっ散らかってる。
眠れるわけ、ない。
愛してるのに、怖かった。
怖かったのに、壊されたかった。
壊されたかったのに……生きてて安心した。
もうここまでくると病気だ。
私達って、どこまで許せる関係なんだろう?
どこに行きたくて、愛を確かめ合ってきたんだろう?
何が事実で、何が虚構かも解らない。
私の気持ち、蜂楽の気持ち。
重なったようで、歪な形の歯車が噛み合わない。
「っ。廻っ……」
真っ暗なリビングで発した、自分の小さく細い声。
マスターが淹れてくれたレモンティーは……
効果が切れちゃったみたい。
知らない部屋でひとりぼっちになると……
考えられるのは蜂楽のことだけ。
“一日一顔”のクロッキー帳は、蜂楽の家の自室に置いてある。
今すぐ開いて、今日を忘れたい。
今すぐ開いて、愛を上塗りしたい。