第28章 兄と妹
“俺は夢ちゃんを愛してる。
だから、何があってもだいじょーぶ。”
蜂楽の誕生日に、海で言ってくれた言葉。
あの日の“太陽”みたいな温かいあなたに……
また逢いたいよ。
「(“顔”…今日なら、なに描く…?)」
“壊してやるよ。俺が夢を、ぶっ壊す。”
狂ったエゴイストの眼。
久しぶりに流された涙。
酸欠でおかしくなる直前の、思い出せる最後の顔。
いま泣いてしまったら、きっと寂しくなる。
きっと蜂楽の家に帰りたくなる。
きっと廻が───欲しくなる。
解ってるのに……そんなこと。
「ひっ、うぐっ…廻…うあぁ…めぐ、るぅ…!」
愛されたくて、切ない。
愛しすぎて、狂おしい。
あなたが私を見た眼は……
大好きな蜂蜜色じゃなかった。
狂愛(あい)してるから……
なにされても良かったのに、ぐちゃくちゃだ。
───廻、お願い。
あなたに壊されなかった私を、嫌いにならないで?
ひとりぼっちは……もう嫌だよ───。
“廻は私のことを……まだ愛してくれますか?”
知らない部屋の窓から見えた、月に聞いてみても…
何も答えてはくれなかった。