第27章 噛みつかれた日 ✢
“俺、夢ちゃんのコトだいすき。
夢ちゃんがいなきゃ俺、マジで生きてけない。”
“俺が一番怖いのは……
夢ちゃんを失うことだから。”
私もだよ……廻。
私は、蜂楽廻がいないと……生きていけない。
だからこの重みも……全部受け入れるよ───。
蜂楽の指が、喉元のほうに伸びてきた。
「……っ!!ぁ……ぁ゛……!!」
苦しいな。
もう、声なんか出ないや。
あなたはいつも、私の“思想”を全部壊して
思いもしない“発想”をぶち込んでくれる。
自由で勝手な廻が……私は大好きだよ。
「っっ、夢、夢、壊れちゃえ……!
壊れて俺だけのモノになれ……!夢っ……!」
廻……ありがとう。
私のために泣いてくれて。
私と出逢ってくれて、ありがとう。
私と一緒にいてくれて、ありがとう。
私を愛してくれて、ありがとう。
───あ、パイナップルケーキ。
ごめんね、まだ焼いてあげてない。
廻の驚く顔が……見たかったのに。
廻の喜ぶ顔を……描きたかったのに。
心残りがあるとするならケーキのことと……
廻が、世界一のサッカー選手になるのを
一番近くで見られなかったことくらいかな。
その願いは、私の足首に込めてたんだけど
ミサンガ、まだまだ切れないなぁ───。
───あ……もう……ダメかも。
黄色の“束縛の糸”が……
首を絞める───。