第27章 噛みつかれた日 ✢
「……うそつき。」
蜂楽は小さく、泣きそうな声で言った。
「……ぅ、あ゛っ……!!」
「壊してやるよ。俺が夢を、ぶっ壊す。」
───人って、難しい。
思いやりから気遣っているつもりが
実は傷付け合っていて
子供の私達は、まだそれを俯瞰できない。
「……ほぉら♡コーフンしてきたっしょ……?」
理解り合いたいと願えば願う程
人は、傷つけ合ってしまう。
願いが強い程、自らをコントロールできなくなる。
愛は、間違えば……心の傷にもなる───。
「もっと早く、もっと深く、もっと強く……
俺だけのモノに……してればよかった。」
“もしかしてヤリ逃げするつもりだった?”
“……だよね。避妊のこと、ごめん。”
初めてセックスしようとしたあの日も。
“最近モテモテで気分いいでしょ。‘蜂楽クン’?”
“は?なに煽ってんの?”
それぞれの嫉妬からぶつかったあの日も。
“だいじょーぶだよ。ナカ出してないし。”
“……廻のバカ。もう……知らない。”
自己中な欲望をねじ込んで来たあの日も。
すれ違うことで、愛を確かめ合ってきた。
背を向け合うことで、一緒に生きようとしてきた。
───そっか。
今のも……それとおんなじなんだよね?
廻が私にくれる、最大級に重い“愛”。
これも私と廻の、愛情表現なんだよね───?