第4章 記憶
「どした?気分へーき?」
「……少し落ち着いた。お水、いただきます。」
コップに口を付けると、
「顔色、ちょい悪?」
と、蜂楽がクリクリの眼で顔を覗き込んできたから、危うく水が飲み込めないところだった。
ベッドの上に座った蜂楽は床に座る私に、
“コーコ!”と言って隣をパンパン叩いた。
私はベッドの上の蜂楽の隣に移動した。
「……蜂楽、聞いても良い?」
「なんなりと!お姫様♪」
「どうして……“ニセ彼氏”やってくれてるの?」
昼寝席のためとはいえ、知り合ったその日から、文句言うどころかノリ良く付き合ってくれてる。
私が言い出したこととはいえ、蜂楽にそこまでメリットがあっただろうかと今になって思う。
「家、ウチと微妙に距離あるしさ。」
「にゃは♪バレちった?」
特に、“毎日一緒に帰りたい”という条件が。
「夢ちゃんを家に送った後は、ドリブルしながらのんびり帰ってる。
30分くらいだし、その時間が俺には大切なんだ♪」
それでも蜂楽の方から“毎日一緒に帰りたい”という理由にはならない。
蜂楽はただでさえ近い私との距離を、更に縮めて座り直した。
「そう言う夢ちゃんもさ、
俺のコト、直感で選んだっしょ?」
蜂楽の膝が、私のにコツンと当たった。