第27章 噛みつかれた日 ✢
「い、あ゛……!」
いきなり唇に噛みつかれて、鋭い痛みに驚いて口を開ければ舌を噛まれる。
「は、ん゛……!ひ、ゃ!」
唇、舌、口内の粘膜、歯茎。
角度を変えて次々に歯を立てられて、口の中に鉄の味が滲んでいく。
「はっ、エっロい顔。ちゃんと俺で感じてんじゃん。メス穴ぐちょぐちょビッチ。」
「……ん、やぁ……」
罵られて、鋭い眼で睨まれる。
胸を鷲掴みにされるけど、いつもの揉み方なんて比較にもならない。
握り潰される、痛みしかない。
「痛い……廻ぅ、痛いよ……!」
「痛いの好きでしょ?気持ちいいって素直に言えよ。」
胸の柔らかい脂肪が、ぐちゃぐちゃに形を変える。
制服のブレザーの上で乱暴を働く大好きな手を見て、目から水滴が流れる。
「な、んで……私、マスターとは……なにもっ」
「ソレを決めるのはお前じゃない。」
どうして……?
“魔が差した”……そういう段階じゃない。
尾行されて怖くて、助けてもらいたかっただけ。
それとも、私に棲む“かいぶつ”の世迷い言が……
今の聞く耳持たないあなたに、聞こえたとでも?