第26章 いけないこと ✢
練習試合で蜂楽が不在の、ある土曜日。
勝手に彼の部屋のベッドに入り、いけないことに手を伸ばす。
蜂楽のにおいを、余すことなく感じながら。
蜂楽の触れ方を、ひとつ残らず体に再現しながら。
“もうこのまま、俺と夢とで…ぶっ壊れよ…?”
“……ちんぽ、ぶち込むね……?”
繋がったあの、たった一瞬のことを……
千切れるくらい、噛みしめながら。
「あ、はっ、あぁ…!イ、くぅ…!ん、いぁっ…!廻っ、欲しっ、めぐるうぅ…♡」
───足りない、足りない、こんなのじゃ。
廻が全然、足りないよ。
欲求不満(フラストレーション)が
爆発しそう───。
10月は早くも中旬に入った。
入試まであと、二週間。
未だ知らない世界への入口が近付き、
大きな不安と小さな期待で頭が一杯。
「あれ?」
その日、バイトへ行こうと自転車に跨った時だった。
タイヤがパンクしていることに気付いたのは。
時間は授業が終わった3時半。
歩いてもちょうど間に合う時間。
「(仕方ない。歩いて行こ。)」
自転車置き場に置いたまま、“K.K.”へ向かった。