第26章 いけないこと ✢
蜂楽はあの時、母に“友達”と名乗った。
当時はそれで助かったところもあったんだけど。
その後、蜂楽の“キス匂わせ発言”があって、結果的には母にバレた。
まぁそれは単に、蜂楽が純粋な願望を隠しきれなかったんだと今は解る。
「なんでかな。俺…人の眼をよく見るからさ。
夢ちゃんママの眼を見て、なんとなく。」
実際に、本物の彼氏ではない。
でも学校の人、優さん含め周りの人には恋人同士だと思われてるし。
便宜上そして“契約上”自分達でもそう名乗ってる。
「夢ちゃんママがキライとか、そーゆーのじゃないよ?直感で、言わないほうがいいかなと思った。」
「そう……なんだ。」
蜂楽は淡白に言った。
きっとその直感は……正しいんだと思う。
私は……
私がお母さんを信じられないこの気持ちを
誰かに“正解”にして欲しかったんだ。
「“カレシ”って言って欲しかったとか?」
「解んない。でも何故かちょっと寂しかった。」
「およ。溢れ出る愛おしさ♡」
だから私は“正解”が欲しくて……
目の前にいたマスターに、話しちゃったのかな?