第26章 いけないこと ✢
蜂楽との思い出が、たくさん詰まった生徒会室。
昼休みに毎日顔を合わせたあの部屋は……
もうすぐ使えなくなってしまう。
“キミのお願い、なーんでも聞いちゃうからっ!!”
昼寝する蜂楽を起こして始まった、不思議な関係。
“はっ。見た?俺と夢ちゃんの愛。”
思いがけず奪われた、鮮烈なキス。
“お仕置きだよ、夢。”
文化祭でされた、アンモラルな交わり。
全部全部全部……
蜂楽と私を“束縛の糸”で結びつけるに至った
絶対に忘れたくない大切な出来事。
廻……私、とても不思議だよ。
だって、過ごしてきた時間はまだ短いのに……
まるで小さな頃からずっと一緒に生きてきたような、深い愛で結ばれてるんだもん。
母の不倫現場を見たことは、蜂楽や優さんには言ってない。
言ったのは、マスターだけ。
安易に口にできることじゃない。
けど何でかな……。
マスターになら、全部吐き出せると思った。
「……ねぇ、廻。」
「んー?」
「お母さんが、挨拶に来たことがあったでしょ?」
「うん。」
ウチの家族が蜂楽家を訪れたのは、住み込みを始める時のあの挨拶のみ。
それがきっと、最初で最後の一回だ。
「あの時なんで…“彼氏”って名乗らなかったの?」