第25章 渋みのミルクティー ✢
───なんで……?
なんで、お母さんが……?
“夢。あの廻って子と付き合ってるんでしょ?
あーゆー子が趣味なんだ?”
それは、自分の男性関係を正当化するために
私と蜂楽の関係も目を瞑ってあげる、ってこと……?
“お父さんには黙っててあげる。”
それは、お母さんの不貞も
お父さんには黙ってなさい、っていう脅し……?
“妊娠だけは、気を付けなさいよ。”
それだけは、お母さんに……
絶対に言われたくない───。
「はぁっ、はあ……」
一旦蜂楽の家に戻り、取りに行った荷物とサプライズのパイナップルケーキを置いてから行こうと思っていたバイト。
気付けば直に、“K.K.”に向かっていた。
自宅から何ひとつ持ち帰れていないスカスカのバッグが、自転車の前かごの中で虚しく揺れる。
店裏に自転車を停めて、過呼吸気味になった息を整えもしないままドアベルを鳴らした。
「あれ。お前今日5時からだよな?早ぇな。」
「……はぁっ、は……。」
「顔色すげー悪ぃけど。」
「……あ、いえ。へーき、です……。」