第25章 渋みのミルクティー ✢
「あれ。」
自宅前に着くと、珍しく母の車が車庫に停まっていた。
もしかして、家で仮眠を取っているかもしれない。
睡眠時間も家族時間も削る、過酷な職業。
いつも頑張ってるから、起こさないように。
音を立てないようにそーっと鍵を解錠して、
そーっと玄関ドアを開けた。
……見慣れない靴。
男の人の、だ。
お父さんの、かな……?
もしかして、一緒に帰ってる?
ケーキ、作れるかな?
ハンドミキサー使うし、うるさいって言われたらどうしよう。
何気ない思考の中。
玄関に入りリビングへ近付くにつれ
耳から入ってくる聴覚情報が、鮮明になっていく。
「……あっ」
お母さんの、声。
「……ほら。ココ、本当に弱いよな。」
知らない男の人の、声。
「やあっ……いじわる、ねっ」
「俺のそこが……イイくせにっ」
セックスしてる、声。