第25章 渋みのミルクティー ✢
「今日のシフトは5時9時ね♪送り迎えするから、夢ちゃんと一緒に店にいちゃダメなの?」
「お店で宿題やってれば、すぐ教えられるんだけど。マスターが怒るんだよね。身内を店に入れるな、って。」
「マジなんなのアイツ。ゼッタイ恋人友達いないっしょ?」
「ちゃんとひとりでできる?」
「んー、どうだろ。あ…ねぇ。6×9(ろっく)いくつだっけ?」
「ついでに聞くな。54だよっ!」
「にゃはっ、ありがと♪やってみる!」
「ふふっ。解んないところは後で教えてあげるね。」
サラサラの前髪をよしよしと撫でると、幸せそうに眼を瞑る蜂楽。
口角をキュッと上げてると本当に猫みたいに見えてきて、たまらず顎の下までチョイチョイ触っちゃう。
「廻、可愛い。大好き。」
「お仕事いってらっしゃいのディープキス♡」
「ん、ん、ぅ……」
「んー♡」
蜂楽の欲望は、本当に底なしだ。
翌日のシフトも、始まりは夕方5時。
新学期が近付く、8月下旬。
バイト前に、自宅に置いてある学校の制服やら教科書やらを取りに行くつもりでいる。
自宅に戻る理由は、それだけじゃない。
蜂楽の誕生日、海に行ってて作ってあげられなかったパイナップルケーキ。
それを焼くっていう、大切な理由。