第24章 ラッキーカラー
「あっ、ライフセーバーさん!じゃ…ないですね。」
それっぽいマッチョな体つきだけど、彼らがいつも首から下げている笛がないことで勘違いに気付く。
「その子、迷子すか?」
「あ、はい。近くにライフセーバーさんいなくて。
この子、不安そうだから、この辺りで親御さんいないか探してたんです。」
長身でガタイのいいその男の人に驚いて、男の子は私の後ろにサッと隠れる。
「大丈夫だ。すぐ見つけるからな。」
しゃがんで男の子の高さに目線を合わせ、頭をポンポン撫でたその人。
見た目は少し迫力あるけど、正義感の強い人みたいだ。
「錬介ー?どうしたの?」
「悪りぃ。迷子だってよ。」
高校生くらいの女の子が、オレンジの人の元へ来た。
花柄フリルの水着が似合う、可愛い人。
彼女さん、かな?
「兄ちゃんが、父ちゃん母ちゃん探してきてやるからな。安心してその姉ちゃん達と遊んで待ってろ。」
もう一度男の子の頭をポンと撫でると、オレンジの人は軽快に走っていった。
「(……た、頼もしいー!!)」
男の子と彼女さんと、5分くらい遊んで待った。
今会ったばかりの人だから緊張したけど、彼女さんは明るくくだけた性格で接しやすい。
その子がすっかり笑顔になれたのは、完全に彼女のコミュ力のお陰。
「おーい!いたぞ!」
オレンジの人が連れてきた迷子のお母さんは、私達に何度もお礼を言ってその子と共に帰って行った。
「おにいちゃーん!おねえちゃーん!ありがとねーっ!!」
お母さんを見て、安心しきった男の子を見て……
私にもこんなお母さんがいたらなって
不謹慎にも思ってしまった。