第22章 一日一顔 ✢
「わっ!?廻っ…!!」
「いつも迎えに来るアレ、彼氏?」
「は、はい…。」
「大事にされてんのな。」
ドアベルを勢いよく鳴らして、ズカズカ入ってきた蜂楽。
珍しく怒ってる……理由は想像できるけど。
「どぉも。夢のカレシ!!の蜂楽廻でーす。」
「んあー。どぉも。」
「夢、早く帰ろ?俺ん家に!!ねぇ、はやく
かーえーろー!?」
「ちょっと…引っ張らないで、廻…!」
“バイト先の店長さんだよ?
廻が思ってるような関係になるわけないから…!”
蜂楽家までの5分の道のり。
きっとこういうオーソドックスな釈明をするんだろうな、って想像していた。
「一度くらい注文してけよ。夢を迎えに来ること、もう一週間だぞ?」
マスターは、私に助け舟を出すように蜂楽に言った。
「残念でした。俺、決めてるんだよね。コーヒーは、夢が淹れた蜂蜜入りしか飲まない、って。」
エッチする時しか、私を呼び捨てにしないくせに。
マスターの前で……なにカッコつけてるの。
大人相手に……なにムキになってるの。
そうやって子供っぽく束縛されるの……
フツーに嬉しいから。
「“飲まない”じゃなくて“飲めない”だろ?ガキンチョ。」
「イマドキ名前呼びはセクハラっしょ?オッサン。」
やけに大人の色気を纏って、捨て台詞を吐く。
そんなに縛られたら……
私もう、ひとりでどこにも行けなくなっちゃうよ?