第22章 一日一顔 ✢
「……んんっ!」
“K.K.”を出てすぐ、住宅街の端っこ。
お店のエプロンを外せないまま、噛みつくようなキスで唇を塞がれる。
「ん、ぁ…はぁ…」
「はぁ…ん、ん…」
一言の言葉も交わさず、奪われた唇。
すぐに舌を絡ませ合って唇を貪り合い、
体を抱き合い、道端でディープに交わる。
「っん」
お尻をギュッと強く掴まれて、いつものように
熱い股間をスリスリと擦り付けられて……
熱くなる体とは裏腹に、そろそろ止めようって自制心が働く。
「……随分、楽しそーだったじゃん。」
瞳孔が開いた黄色い眼で、見下ろされる。
「世間話してただけだよ?」
わざと上目遣いで蜂楽を見上げた。
「私が愛してるのは廻だけ。私が縛られてるのは
廻だけ。これまでも、これからも。」
熱のこもった高い声で喋り、胸を押し当てる。
キスで眼が潤んでるのも、頬が上気してるのも
自分で判ってて……
そんな女の武器で、蜂楽を露骨に誘う。
こういうの、あざといって言うよね。
こんなこと初めてしたけど、案外楽しい。
「……やらっしー誘い方、知ってんじゃん。」
蜂楽の低い声がスイッチを入れる。
首に巻きつけた両手を強くし、顔を自分側にぐっと引き寄せてキスした。
「……帰ったら、たっぷり可愛がるから。」
「たくさん愛して?廻。」
今日描く蜂楽の“一顔”は、もう決めた。
今のあなたの……
私に溺れ、爆発しそうな性欲を抑える顔だ。