第21章 父と母
「夢ちゃん!よく来たね!」
インターホンを鳴らして出て来たのは優さん。
文化祭の翌日、学校の片付けをした日。
帰りに蜂楽の家に行って、優さんにあの時の返事をした。
“歓迎するよ!一緒に描くの、楽しみだ!”
蜂楽と同じ色の眼を細めた優さん。
頬が紅潮してて“お母さん”って感じじゃなくて……
綺麗な笑顔に、恥ずかしくなっちゃったくらい。
「んぇ…?優ー。いま、夢ちゃんって言った…?」
玄関先の優さんの隣に、ノソノソ出てきた問題の人。
……はい、詰んだ。
前髪はパイナップルに結び、上半身裸でヨダレ垂らした寝起きスタイル。
暑いよね、うん、解る解る。
フツーに見たら、いつも通り可愛い蜂楽だよ?
「(スマホ見てよ!!バカ!!)」
「うぃ!?」
迫力を込めたヒソヒソ声で、蜂楽を小突く。
「もしかして…夢ちゃんのお母さん…?」
優さんが目を丸くして言った。