第21章 父と母
一瞬、母の言葉の理解が遅れてしまい、混乱する。
「……え、え!?そう、なの!?」
「生活費は親としての責任がある。それはちゃんとお母さんが払うから。」
「え、あ…本当!?ありがとう…!え、いいの!?住み込みアシスタントしても!!」
「その家に挨拶に行かないと。今日はやっと取れた半日休だから、パパっと済ませなきゃ。
病院からの呼び出しがいつ来るかわからないから、急いでね。」
表情を変えず、サバサバ早口で喋る母。
それでもその言葉は、飛び上がるくらい嬉しかった。
今日は私にとって、革新的な一歩目だ。
私の人生が今……変わる。
「……ありがとう、お母さん!!」
勇気を出して、告白して良かった。
全否定されなくて本当に良かった。
しばらく会ってなかった母が少し、丸く感じた。
これで……夢に近付ける。
隣で見ててね、蜂楽。
…………。
あ、挨拶……?
そりゃそう、だよね?
…………。
蜂楽が男だって……
バレちゃうじゃん……!!!!