第3章 ともだちデート
おしゃべりしていると、待ち時間はあっという間。
おしゃれな店員さんからおしゃれなカップを受け取った瞬間、原宿の一部になれたみたいでなんだか嬉しかった。
ピンク色にシュワシュワするこの可愛い飲み物に釘付けになる。
「わぁー、何これ…!可愛い…美味しそう…!」
「夢ちゃん写真撮る?」
レモネードを受け取った蜂楽は、スマホを用意した。
「えっ、いいよ!私、SNSとかやってないし!蜂楽、撮ってあげるよ?」
「うんにゃ、俺もやってない。フツーに夢ちゃんとのツーショ写真欲しいだけ♪」
蜂楽はこういう時、本当に思わせぶりな発言をする。
女子の欲しい言葉を的確に使う。
交際経験ないって言ってたけど、ひょっとしたら遊ばれてる可能性だってまだゼロじゃない。
もしそうだとしても“ニセ彼氏”としての“契約”。
お互いの利害関係は一致してる。
割り切ることも必要なのかな。
「夢ちゃんとの初お出かけ記念!パシャ♪」
なのに……
「もっと笑って?
笑ってる顔が一番可愛いよん。夢ちゃんは♪」
どうしてこんなに……ときめいちゃうの───?
「あ!そっちも飲ませて♪」
写真を撮り終えた蜂楽は、私が飲みかけてるレモネードのストローを口に含んだ。
「夢ちゃんのイチゴ入りのやつもうまー♪」
あれ……?
えっと……これ……?
超ド天然か?確信犯か?
間接キス……してるんだけど。