第21章 父と母
「……あの、話は逸れるけど。
その友達のお母さんが、画家さんなの。」
なかなか顔を合わすことが難しい、父と母と私。
このチャンスを逃したくない。
夢を追いかける決意が固まった私の心に……
ストンと台詞が落ちてきてくれる。
「実はその画家さんに、住み込みでアシスタントしない?って誘ってもらって…。その話、受けようと思ってる。大人が側にいてくれると…安心、だし。
その人の隣で絵の勉強して、美大を目指したい。
私…デザイナーになりたいの。」
両親に掛けられた“鉄の首輪”を
少しずつ少しずつ、壊せてる。
「私、医学部には行かない。」
やっと、言えた。
文化祭前にあった、担任との進路面談でも言った。
担任と父は今、同じ顔だ。
「お父さんとお母さんが許してくれないなら、学費は奨学金を利用する。
今からバイトして少しでも学費貯めて、居候先に生活費も払うつもり。その人、シングルマザーだから。」
自分の口調が、明瞭になっていくのが判る。
お父さん、お母さん。
私の育て方……間違えたね。
「何年かかってもいい。私、デザイナーになる。」
もう私は……
あなた達に従順な、支配される人形じゃない。
自分のエゴにだけ従順な、立派なエゴイストだよ。