第20章 束縛の糸 ✢
「あと……学校でえっちなコトしてごめんなさい。」
蜂楽は珍しく、私の眼を見ずに言った。
子供がイタズラを咎められた時みたいに、
ショボンと下を見て謝る蜂楽がなんか可愛い。
「もう怒ってないよ。私も叩いて、ごめんなさい。」
繋いだ右手を離して、ビンタしてしまった蜂楽の左頬をスリスリと撫でた。
「手ぇ……ちゃんとバイバイまで繋いでて。」
蜂楽は頬を撫でた私の手を掴んで、すぐキープする。
「なに可愛い子ぶってるの?昼間の“かいぶつ”蜂楽、ぶっ飛んでたよ?」
「アレも俺、コレも俺♪それに俺はしぶといよ?」
「……激しすぎだよ、キャラ変。」
しぶとさなんて承知済み。
もう、はっきり理解ってる。
私は、蜂楽廻がいないと……生きていけない。
「よっ!おしどり夫婦!!」
「手ぇ繋いでラブラブぅ♪お疲れちゃーん!!」
全校生徒の前でキスなんかしちゃったもんだから、私達を自転車で追い越していく男子達が言う。
「夫婦っ…!?」
「羨ましいでしょ!?邪魔しないでよねー!!」
“夫婦”というワードにドキリとする私と、
いつも通りナチュラルな蜂楽。
あの時まるで…でっかい結婚式の花嫁になったみたいだった。
ドラマのワンシーンでしか観たことがないような…。
あんなに大勢の前での、公開キス。
証人=全校生徒という、蜂楽が創造したサプライズ。