第3章 ともだちデート
「夢ちゃん、カッコ良すぎっしょ……?」
駅に来た蜂楽は開口一番に言った。
蜂楽はいつも、私が嬉しいことを言ってくれる。
「学校での優等生イメージとぜんっぜん違う!!
いいねいいね!!私服の夢ちゃんのほうがしっくりくる♪」
「あ…ありがと。」
「照れ屋さん♪」
「ば、蜂楽はなんか可愛いね。イルカのマーク…。」
「可愛いっしょ?」
新鮮な私服姿と相まって、褒められた蜂楽が嬉しそうに微笑んだのが可愛くて…
男子だなんてことも忘れて、思わず背伸びして頭を撫でてしまった。
「にゃは、なでなで嬉し♪今日は積極的だね♡」
「だっ!抱きつくなー!!」
「先に手ぇ出したのは夢ちゃんっしょー?赤くなっちゃってかわいー。」
「今日は友達!!でしょ!?友達なでなでだから!!」
電車に乗って移動中、打って変わって蜂楽はやたら大人びていた。
座れない車内で、ナチュラルに私の背中に手を回して支えてくれる。
「(すんごいギャップ。しかもフツーに慣れてんじゃん…。)」
誰かにもこういうのやったことあるんじゃないかって想像しちゃって、何故かほんのり複雑。
それでもこの細やかな配慮は、嬉しくないはずがない。
意外な背の高さも、混雑する休日の電車内ではこんなにも頼もしい。
原宿駅の階段を降りると、私は圧倒された。