第3章 ともだちデート
蜂楽との約束の日はあっという間に来た。
GWの中日で学校が休みだったから、顔を見るのは久しぶりだ。
午前10時に最寄りの駅で待ち合わせているが、クローゼットを開けてびっくりした。
「なにこれ…また増えてる。」
私服ゾーンには、まだタグの付いた見慣れない清楚系のワンピースが掛かっていた。
私が学校に行ってる時に、母が勝手に買って入れておいたものだろう。
母は私のクローゼットを支配して、そして私の心までをも支配しようとしてくる。
私は母が勝手に買う清楚系の服が嫌いだ。
大人に従順な、物言わぬ女の子のように見えるから。
以前、自分好みの服を勝手に捨てられていたことがあった。
今回は奥に隠しておいたお陰で捨てられてなくて、本当に安心した。
ダメージのブラックスキニー。
ストリートブランドのワークシャツ。
蜂楽と遊びに行くことが決まった後、お小遣いの余りやお年玉貯金で、内緒でネット購入していた服。
アクティブな蜂楽といると、動きそうだし。
なにより、私の心にフィットする。
“楽しいこといっぱいあるから”
蜂楽からのメッセージを思い出す。
キャップとスポーティーなショルダーバッグを持って、ダッドスニーカーで足早に家を出た。