第19章 お守りみっつ
“もっと俺に……依存しろ。”
でもね私、蜂楽の自由を奪いたくないんだよ。
“サッカーで生きていく”って選択肢を
1ミリでも潰す要因になりたくない。
自由にやりたい蜂楽を……束縛したくない。
“本物の彼氏じゃ、ないくせに。”
心にも無いこと言って……また蜂楽を傷付けた。
あなたの恋人になんて、なりたいに決まってる。
あなたもそう思ってくれてるのは、よく解ってる。
依存して、束縛しちゃうに……決まってる。
ひとりでも生きられる私でなきゃ、ダメなんだ。
これ以上、あなたがいないとダメな弱い私を……
翻弄しないで。
「(…妊娠、大丈夫かな…。)」
スマホがさっきからよく鳴っている。
相手は判ってるから、見ないことにした。
蜂楽、蝶野くん……ごめんね。
今は、ひとりになりたい───。
『生徒会長の蜜浦 夢さん。本部テントまでお願いします。繰り返します。生徒会長の…』
放送が流れても、すぐに腰があがらない。
本来なら生徒会長の私は、ずっと本部に詰めてなきゃいけない立場。
人に顔を、見せられる状態じゃないのに。
「……はぁ。」
それでも無理やりにでも行かなきゃいけない。
こんなところでサボったり、恋愛にうつつを抜かしていられない。
皆が当たり前に楽しめることが、私にはできない。
生徒会長って、一体なんなんだろ?