第15章 おそろい ✢R15
「実は少し前から、廻と話してたんだ。
夢ちゃんのご両親がお仕事で全然帰れないって聞いて、女の子がずっとひとりなのも何かと心配だし。
もし本気で美大のデザイン科目指すなら、画塾とか行かなきゃでしょ?
それなら私の元でデッサンの勉強しながら、アシスタントとして経験積んでくれたら嬉しいな、ってね。
なにより、夢ちゃんはとてもいい子だし。」
「それにさ優。夢ちゃんの料理、すっげー美味しいんだよ♪」
「あはは…。まぁ、住み込みってなると、家事も手伝ってもらうことになっちゃうけどね。
私が仕事仕事になると、なかなか家事に手が回らない時もあるし。」
「そう……なんですか。」
「でも、あくまで対等な関係だよ。基礎が終われば、ひとりのアーティストとして扱う。」
「家までおそろになれるね♪」
「もちろんすぐに答えは出さなくて大丈夫。
ご両親のご意向と、なにより夢ちゃんの気持ちが一番だから。よく考えて決めてね。」
私をちゃんと、見てくれる人がいる。
私をちゃんと、理解ろうとしてくれる人が…
ふたりもいる。
それだけで……
こんなに心が、満たされるんだ。
「ありがとうございます…!考えて、みます。」