第15章 おそろい ✢R15
「夢ちゃんよく来たね!廻も合宿お疲れさま。」
笑顔で出迎えてくれた、約一ヶ月ぶりの優さん。
相変わらず若々しくて素敵だ。
「話したいことがあるんだ。上がって?」
話したいこと……優さんから、私に?
すごく気になりながら、玄関に脱いだ靴を揃えた。
「ちっちゃい廻、可愛い!」
「あら、お気付き?そーなんすよ♪」
前に来た時はなんだか緊張して、よく見られなかった蜂楽家のリビング。
可愛い手でサッカーボールを持つ幼児の頃、七五三。
体より大きいランドセルを背負った小学校の入学式。
イベントの写真も普段のスナップも、たくさん飾られてる。
好きな人の小さい頃の姿って、なんだか感慨深い。
それに家族仲の良さが写真から伝わってきて、そんなもの飾ってもないウチとは大違いだ。
「夢ちゃんはこれから、美大目指すの?」
お茶を淹れてくれた優さんが、テーブルに置きながら言った。
その場から手招きされて、急いで“ありがとうございます”を言って椅子に座る。
「具体的な進路はまだ決まってないんですけど…
どんなデザイナーになりたいかはイメージできてます。」
優さんは黙って目を細めて、微笑んでくれた。
蜂楽は私の隣に座り、テーブルに突っ伏して見上げてくる。
「お店とか会社とかの、ロゴマークのデザインがしたいんです。」