第15章 おそろい ✢R15
「夏になったらまた来よーね!海♪」
赤い夕焼けをバックにニコッと微笑む蜂楽が、とても幻想的だった。
逆光に照らされた黄色の毛先がキラキラしてる。
夕焼けが赤いと、わけもなく切なくて儚げに見えて…
蜂楽を思わず抱きしめた。
“ずっとずっと、私のそばにいてくれる?”
ふと、こんな台詞が頭に浮かぶ。
どうしてだか……解らないけど。
悲しくなっちゃいそうで、言わなかった。
「夢ちゃんはこのピンクのシーグラスみたい。貴重な存在なんだ♪」
私のパーカーのポケットから拾ったシーグラスを取り出して、指で摘んで見つめる蜂楽。
「そう、なの?廻のほうが貴重じゃない?廻はサッカーの逸材でしょ?」
「あんがちょ♡でもね、俺は夢ちゃんだと思う。」
蜂楽も私の体に腕を回した。
「それは、世界中で俺だけが知ってる。
スーパースペシャルな夢ちゃんと出会えたラッキーな俺だけが、知ってればいいんだ♪」
蜂楽はウインクした。
「……その甘い台詞は、どっから出てくるの…?」
夕陽が赤くて良かった。
顔が赤くなってるのが、バレないから。
意外な高身長のその唇に…
背伸びしてキスした。
泣きそうなくらい嬉しいのが……
バレませんように。
「おなかすいたね♪」
今日は蜂楽の家で、夕飯を食べる約束だ。