第15章 おそろい ✢
「……夢ちゃん、もともと美人さんだけど。
絶対前より……キレイになった。」
ふざけることが多い蜂楽が、いやに真剣に言う。
急に心臓が速くなりだして、髪から手をパッと離す。
「……惚れ直しちゃうって。」
そんなこと言われると。
日常的にするようになったキスも……
毎日何気なく、手を繋ぐことさえも……
恥ずかしくなってきちゃうから。
ローカル電車に揺られて、海に行った。
裸足になってズボンの裾を捲って、私にぴったりくっついてくる蜂楽と一緒にシーグラスを探した。
「廻みてー。これ綺麗、水色だよ!」
「わぁキレイだね!俺も見つけた♪ピンクかな?」
「ピンク珍しいんだよ!すごいね!」
「そーなんだ。ならこのピンクは、夢ちゃんのにアミアミしよ♪」
「いいの?じゃあ廻はこの水色ね!」
蜂楽からピンクのシーグラスを受け取ったその手を、そのまま繋がれる。
「海岸、お散歩しよ♪」
「……うん!」
蜂楽が立ち上がると改めて、意外と男子な身長にドキッとしてしまう。
6月の海には人なんて殆どいない。
足元に寄せてくる波の音だけが耳に入る。