第14章 ニセモノのやり方 ✢
「夢ちゃん、恥ずかしがりすぎ♪」
「……だって……」
温め直した酢豚と白米を食べる蜂楽を前に、両手で顔を覆うことしかできない。
「……人前でイクなんて、慣れてるワケない。」
蝉川と関係を持った時は、達したことがあったかどうかも判らなかった。
犯された一ヶ月もの間、ほぼ毎回媚薬を盛られて朦朧としてたし。
あの人とのセックスで感じたことは専ら……
“痛い”“怖い”だったから。
直接自分のイクところを鏡で直視して、視覚で認識した。
私って……こんなに感じるんだ、って。
いつか蜂楽と本番のセックスをしてしまったら……
どうなっちゃうんだろう?
「俺は“人”じゃないよ?もう他人だなんて思わないで♪」
「言葉のあやだよ…。誰かに見られてる状況、ってこと。」
「んなら、ひとりでならよくイクの?」
「ばっ、バカ!そーゆー意味じゃないっ…!」
思わず突っ込んでしまい、顔を上げた。
談笑しながら気持ちいいくらいにモリモリ食べてくれる蜂楽を見て、私もつられてゆっくりと箸を持った。
「んー、マジでおいしー♪コレ手作りなんだもんね!やっぱ夢ちゃんって、料理上手だよね♪」
「必要に迫られてだよ。親ほぼいないし。」
素直に嬉しいのに……
すぐに“ありがとう”って言えない私が可愛くない。