第14章 ニセモノのやり方 ✢
「♪」
「っ、んんっ……!」
ドタバタな空気が一気に制圧されて、強引にそういう雰囲気に持って行かれる。
「ふ、ぁ…ん、んぅ…」
「……ぷはっ。かわい♡」
漏れた声が反響してしまう、お風呂でのキス。
隠すものが一切無いこの場では、蜂楽の股間の膨らみだってすぐに判ってしまう。
下腹部に、早くも大きくなった蜂楽が当たって……
エロスな空気が、一気に上り詰める。
今日はこのまま、最後まで抱かれるのかな……。
酸素の足りない、ぼんやりした頭で考えていた。
「ねぇ、夢ちゃん。俺からいっこ提案なんだけど。」
蜂楽は、キスを一旦止めて言った。
「本当の恋人になるまで……本チャンのセックス
おあずけにしない?」
「ぁ……どしてぇ……?ゴムっ、あるよぉ?」
“ゴム無いし。避妊、どうするつもりだったの?”
キスだけでとろけきった脳内で、数日前自分が言い放った矛盾した台詞がよぎる。
「お互い生殺しだけどさ。でも、いつか恋人として繋がれた時は、気持ちよさが何万倍にもなんじゃん?
それまで大変だけど…夢ちゃんが気持ちの整理つくまで俺、我慢がんばっちゃう♪」
蜂楽……もしかして……
「本番なしって言っても…夢ちゃんも俺も、めちゃめちゃ気持ちよくなれるよ…♡」
蝉川との話聞いて、気を遣ってくれてる?
乱暴されたの……私が思い出さないように?