第13章 もう泣かない。
「廻、雨で濡れてるし泥だらけ。ウチでお風呂入っていって?ご飯も用意するから。」
ふと蜂楽の泥だらけの服が目に入った。
蝉川と1on1したって言ってたし、またたくさん転んだのかも。
雨降ってるのに、傘だって持ち歩かないし。
「夢ちゃんも髪濡れてるよん?傘さしてこなかったの?」
「…あ、うん。尾けられた時、走りづらかったから傘畳んで…。」
抱きしめたままの体勢で、私の髪を触る蜂楽。
毛先からポタッと雨水が垂れた。
「俺達って、いつも雨に降られちゃうね。」
「…あは、そだね…。」
私に高さを合わせて、おでこにおでこをくっつけられる。
至近距離で静かに言葉を交わすと…
謎の、妙な緊張感が、ふたりの間に漂う。
ハグし合っていた手を、パッと離した。
「ねぇ、夢ちゃんのパパママってさ……今夜帰ってくる?」
……やめてよ。
急に大人びた顔……しないで。
「……判んない。全部患者さんの都合だし。」
そんな“男”な顔されたら、どうしたって……
ドキドキしてくるじゃん。
数日前だって、あんなコト…しちゃったワケで。
「今夜、お泊りしてもいーい?」
このタイミングで“お泊り”というワードに…
過剰反応してるのは、私だけなのかな?