第13章 もう泣かない
「……えと。廻は、大丈夫……なの?」
「優にはもともと合宿って言ってあるし、お泊りセット持ってるし♪
なにより、ストーカーされた直後で夢ちゃんひとりじゃ不安っしょ?」
……そう、だよね。
何か変なコトに結びつけてしまっている、
私が変なんだ……。
「……ありがと。いてくれたら、とっても心強い。」
「いえーい♪お泊まりー!」
いつもの蜂楽に戻る。
数時間前、感情が無い眼で身勝手に襲ってきた人とはとても同一人物に見えない。
「私、お風呂の準備してくるから。上がって待ってて?」
まだ玄関しか電気を点けてない、暗い家。
ローファーを脱いでから、家に上がるよう促した私の
……後ろ手を、蜂楽は急に掴んだ。
「……俺と一緒に、おフロ入る?」
心が整わない。
一瞬、変なコトを考えてしまった私を……
否定する時間も、肯定する時間も足りません。
「ふたりで……あったまろーよ♡」
蜂楽の眼は少し潤んで、頬が赤い。
心持ちちょっと、吐息混じりな息遣い。
こんな可愛いお誘い、どうやったらいなせるの?
お願いだからこれ以上、この変な気持ち……
加速させないでよ───。