第2章 帰り道の約束
「……夢ちゃん。無理してる時の作り笑顔、バレバレ。」
言われて初めて気付いた。
無意識に笑顔作ってたんだ、私。
昼間の時もそうだったけど、急にドキッとするくらい大人びた雰囲気を出す。
物言わせぬエゴイストのような、強い圧を感じる。
「夢ちゃんはどうして俺を頼ったの?誰かに助けて欲しかったんでしょ?」
蜂楽は私に近付いて、正面に立った。
「人間、ひとりじゃ生きれないよ。」
大きくて優しい手が頭に置かれる。
ゆっくりと丁寧に、上から後頭部に沿って髪を撫でてくれる。
髪に指を絡ませられると、時が止まったみたいに緊張する。
「夢ちゃんも、ひとりぼっちなんだね。」
そう、私はずっとひとりぼっちだ。
頑張った勉強を認めてくれる恩師。
やりたいことを心から応援してくれる親友。
悲しいことや辛いことを一緒に乗り越える恋人。
ただ生まれてきたことを喜んで、私を尊重してくれる両親。
私には、誰もいない。
「……蜂楽くんも……ひとりぼっちなの?」