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【ブルーロック】蜂蜜のファーストラブ

第13章 もう泣かない。





蜂楽のあの表情が、ずっと頭にこびり付いている。



「(蜂楽……泣かなかったなぁ。)」



涙を必死で堪えた、苦悩の表情。

私は堪えたつもりが、いつの間にか泣いていたのに。



きっと、気を遣われてしまったんだ。

泣いちゃうと、バイバイするのが辛くなるから。





「はぁ……」



あの時の乱暴なキス。

蝉川にされたのとデジャヴで、心がザワついた。



でも、蜂楽だったから…本気で抵抗しようとは思わなかった。

蝉川にも、こういう所につけ込まれたんだ。




もしあのまま、あそこで蜂楽に抱かれていたら…

どうなっていたんだろう?




“キスマつけた。俺とおそろ。”




蜂楽の声が再生されて、急激に顔が火照り汗が滲む。




首筋に付けられた、赤い愛の印。

触れてみると、一緒に付けられた噛み跡の凸凹の感触。




「(……どうしよう、これ。)」




悲しい気持ちとは裏腹に……


嬉しくない、はずがない。




あんなに激しいキスをされて…

いやらしく体を触られて…



噛まれたのも、ちょっと痛かったけど…

“俺の”って、強くマーキングされて…



私を求める、サディスティックなギラついた眼で。





私って本当、自分勝手だ。

浮ついてる余裕、ないはずなのに。




とっ散らかった感情を整理しようとした、その時だった。






コツコツコツ……




自宅がある住宅街に差し掛かった辺りで…




靴音が、近付いていた。


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