第13章 もう泣かない
会議中も、ずっと蜂楽のことを考えていた。
あの場にいても、会議の内容なんてまるで頭に入って来なかった。
会長だから出席しなきゃ、っていう以前に……
ひとりでいられる気が、しなかったんだと思う。
それでも帰る時は、ひとりぼっちになっちゃうのに。
バカみたい……私。
「……っ、蜂楽ぁ……」
私だって、涙が出てくるくらい悲しいよ。
あなたと離れることが。
毎日指を絡めてくれた右手が、温度を失ったみたいに冷たい。
何もなかった私の世界に
どれだけの彩りを与えてくれたかわからない。
“……俺のコト大好きって、言ってたじゃん。”
そうだよ、大好き。
だからこそ私のせいで……
大好きな蜂楽を傷付けちゃうのが怖いよ。
蜂楽のサッカーの、足だって引っ張ってる。
それに……蝉川と私の間にあったこと。
蜂楽の優しさに触れて、打ち明けようともした。
けど、打ち明けてしまったら……
私はきっと、軽蔑されてしまう。
蝉川とのことは……
私にだって、原因があるから。
蜂楽と私の間には、何の関係もない。
そう蝉川に、私から言わなきゃ。
これ以上、蜂楽を巻き込んじゃダメだ。
私が蜂楽を、蝉川から守らなきゃ。
蜂楽みたいに……私も強くならなきゃ───。