第13章 もう泣かない。
「会長、しっかりして下さい。」
蝶野くんの言葉虚しく、私は机に突っ伏したまま顔を上げられないでいた。
生徒会会議を始める時間だ。
仕切るのは勿論、会長の私なのに。
「蜂楽関係ですか?」
コの字型に並べた会議机の隣に座る蝶野くんが、私に耳打ちした。
「…………はい。」
蝶野くんは立ち上がると、10人いる生徒会メンバーの前で言った。
「蜜浦会長は本日体調不良のため、副会長の僕が会議進行させていだきます。」
私、色んな人に迷惑かけてる。
本当に……ごめんなさい。
「今日はもう帰ってください、会長。」
「ダメ。いる。」
「なら、そうやってずっと突っ伏してて下さい。」
蝶野くん……
「首の跡、見られてもいいんですか?」
聞かないでくれて……
……ありがとう。
✢✢✢
会議が終わると、時計は夜7時を指していた。
6月に入って少しずつ日は延びてきてるけど、7時ともなるとだいぶ暗い。
「(久々の…ひとり。)」
4月の新学期すぐから毎日、蜂楽と手を繋いで帰路についていた。
隣に誰もいないのは、心細い。
“っ、夢。夢が、欲しい……夢っ、夢……”
蜂楽にあんなに苦しそうに呼ばれたのは……
初めてだ。