第12章 かいぶつ【蜂楽視点】

何度、ホントの彼氏になりたいと思ったかなんて、数え切れない。




でもね、俺が告白（それ）をしないのは……




夢ちゃんの心の“闇”が晴れるまで……


夢ちゃんが本当の心を取り戻すまで……




夢ちゃんを信じて待ってよう、って思ったからなんだよ？


夢を取り戻した今の夢ちゃんなら、乗り越えられるって俺は信じてるから。





夢ちゃんが何か辛いことを抱えてるなんて、俺にだって解るよ。


あの時の過呼吸でさ。




だから…重いものを抱えるキミに、


“俺と付き合ってください！”なんて、夢見がちで安い言葉…


言えるワケないよ。




女の子って、夢ちゃんって…


俺なんかより、ずっとずっと繊細で大人でしょ？




このまま恋人になれたとしても…


優しい夢ちゃんは、俺に気を遣うよね。





いつか“闇”が晴れた時に……


夢ちゃんの心に、準備ができたなら。





ありのままの夢ちゃんを、本当の恋人にしたいんだ。





初めてセックスしようとしたあの日、


そのままの流れで“本当の彼女になってよ”って正直言おうとした。




でも未遂で終わって……


関係を終わらせたくなくて。




夢ちゃん家にわざとスパイクを置いてった俺を…


本当に女々しいと思うよ。