第12章 かいぶつ【蜂楽視点】
さっきの俺は……
一体、何だったんだろ?
あんなに乱暴なことして、俺は何を伝えたかった?
あの瞬間、俺の中で……
理性が壊れた音がした。
「蜂楽、おせーぞ!」
「……」
合宿なんて、できる気がしない。
頭にあるのは、夢ちゃんのコトだけ。
“俺ん家で一緒に夕飯食べよ?また優と3人でさ♪”
“……じゃあ、行こっかな。”
昨日、約束したじゃん……。
“チューは?”
“ちょーだい……?”
昨日、いつも通りキスしたじゃん……。
“私、サッカーしてる廻が好き!”
俺のコト好きって、笑顔で言ってくれたじゃん。
俺達の今までの時間は……
夢ちゃんにとって何だったの?
『もう止めよっか。“恋人ゴッコ”。』
呼び出されて一番に、夢ちゃんに言われた台詞。
“ゴッコ”か……。
まぁ確かに最初はそうだったよね。
でも、こんなにふたりで濃い時間を過ごしてきて…
俺が本気で“ゴッコ”気分でいたと思う?
“好き”って気持ちを確かめ合ったり…
キスとかそれ以上のコトしたり…
“ゴッコ”で……できたと思う?